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EYESCREAM.JP – For Creative Living

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こちらのページは2014年12月15日以前に作成された記事の為、旧デザインで表示しています。EYESCREAM.JPの最新記事はこちらからチェックを

INTERVIEW

特別対談:猪子寿之(teamLab)×石川涼(VANQUISH)〜現代の"異端児"たちが見つめる未来〜

去る12月1日に発売された「EYESCREAM」2013年1月号のバックカバーに掲載されたメンズファッションブランド[ヴァンキッシュVANQUISH)]とボーカロイド”初音ミク”による驚愕のコラボレーション。元はと言えばヴァンキッシュが様々な女性アーティスト・タレントとコラボレーションを行うプロジェクト『VANQUISH VENUS』の第4弾としてスタートしたこの世紀のコラボレーションだが、ヴァンキッシュの洋服を身に纏った初音ミクを6名のイラストレーターが描き下ろしたイラストに、EYESCREAMの為だけに新たに描き下ろしてもらった2枚を加えた強烈なビジュアルは既に大きな話題となっている。

そして今回、EYESCREAM.JPではそれらのビジュアルと同時に掲載された、ヴァンキッシュを擁する株式会社せーの代表・石川涼と、以前に当サイトに掲載した単独インタビューも好評を博したウルトラテクノロジスト集団チームラボ(teamLab)代表・猪子寿之による特別対談を誌面には掲載されなかった未公開部分も含めて、全文掲載。ジャンルは違えど各々の業界で”異端児”と評され、これまでに幾度となく時代を切り開いてきたこの盟友同士の対話にじっくりと耳を傾けてみるとしよう。

Photo:Shirou Kawanishi
Interview:Hiroshi Inada
Text&Edit:EYESCREAM.JP

俺はもうこれはイケる!って思ってた。こういう画期的なシステムとかがリアルな店舗にないと店とか終わっちゃうと思っていたから、絶対イケるって確信してた。(石川涼)

— 猪子さんから石川さんを紹介いただいて初めて会ったのがなぜか秋葉原のメイド喫茶めいどりーみんで(笑)。そのときにお二人がおもいっきり初音ミクの話をされていたので、このプロジェクトが世に出たことは個人的にも感慨深いんですが(笑)。

猪子:たしかに! そう考えるとこの取材はキレイというか、いいオチになってますね。

石川:あのときなんの話したっけ?(笑)

猪子:あれが(このプロジェクトの)初ミーティングだったからいろいろ話したよね。でもこれすごいダウンロードされてるんでしょ。初めて見たとき驚愕したのは、普通にメンズを無理矢理着てるなっていう。関係ないんだなっていう(笑)。

— もともとVANQUISH VENUSのカタログのシリーズはグラビアアイドルだったりいろんなタレントにメンズを着せるっていうシリーズだったわけで、それとチームラボハンガーは連動していたわけですよね。

石川:そうです。もともとチームラボハンガーは服を持ったときに絵が出るだけだったんだけど、あれを喋らせたりとか、「音が出たほうがいいよなぁ」って思ってたんです。だからもともとこれも、誰かタレントに着せてコスプレにしようとしてた。だけど、よくよく考えたら初音ミクそのままでもいいかなって。

猪子:でも結果そのほうがよかったよね。曲まで出来て、PVまで出来たし。

— もともと猪子さん、初音ミクは大好きなんですよね。

猪子:そうそう。だから「すぐやりましょう!」って。あまりにも初音ミクが好き過ぎで、一番初めのヒット曲“みくみくにしてあげる♪【してやんよ】”を初めて聴いたとき僕泣いちゃったんだよね。感動し過ぎて。いままでボーカルの曲って作れなかったのが(ボーカロイドによって)作れるようになって、「科学の限界を超えて わたしは来たんだよ」って初音ミクが歌いだす歌詞が、皆のあのときの初めての気持ちを代弁し過ぎていて、もう超ヒット。しかも(ニコ動では)サビのところで皆がサビを打ち込むんだよね。

— それこそ初音ミクって、猪子さんおよびチームラボが展開している日本の新しいカルチャーの波をまさに象徴している存在だと思うんですね。石川さんがVANQUISHで目指しているのも日本から世界に向けてダイレクトに打って出ることだったりするじゃないですか。だから二人の考え方だったり指向性の一致という意味で、このプロジェクトがこうしてかたちになって世に出たことはすごく意味がある気がして。

石川:一個だけ忘れて欲しくないのは、こういう考え方になったのは全て猪子ちゃんのおかげって言うのだけ。本当にそう。

猪子:いやいやいや。

石川:俺ね、人生で一番影響受けたかも、猪子ちゃんに(笑)。初めて会ったのは去年の春からだけど、その後海外で会ったりとか、一緒に行ったりするようになって。やっぱりいろいろすごい気づかされますよね。僕は猪子ちゃんみたいにロジカルに考えてこなかったので、本当に勘で来てるから。

— タイプは真逆でも同じ方向に行きそうなのが面白いですよね。刺激も受けるだろうし。

石川:すっごい受ける。「あっ、そういうことだったんだ」って、自分でも分からないことを気づかしてくれたりとか。すごい勉強になります。そういえば昨日会ってた共通の友人に言われたんですけど、「涼さんと猪子さんは似ているようで全然違うんですよね」って話し始めて、「どういうこと?」って訊いたら、「砂漠でオアシスを探さなきゃいけないっていうときに、涼さんは多分(勘で)こっちにあるんじゃないかって言ってオアシスを見つけるタイプ。猪子さんは空を見て雲がこう流れているから、多分あそこにオアシスがあるんですよって(論理的に)くるタイプなんですよ」って言ったの(笑)。俺びっくりしちゃって。なるほどって。

— 真逆といえば真逆。

石川:だけど、俺は本当に適当すぎるねって。

一同笑

猪子:でも涼さんも本当は、砂漠でも「人があっちにいっぱい居るからあっちに行こう」って言ってオアシスを見つけるタイプだよね。

— なるほどね、人の気が分かる。それで急速に仲良くなって自然と仕事もしようよってなったんですね。最初はチームラボハンガー?

石川:そう、丁度去年の9月に(SHIBUYA 109のショップが)改装になってVANQUISHが6階から3階に移る時で。で、絶対新しいことやらないといけないって思ってたから、そこに(チームラボハンガーが)ハマったみたいな。それで猪子ちゃんと話し合いながら「エスカレーターあがってすぐの一番お客さんに見えるところに入れよう」って話になって、俺はもうこれはイケる!って思ってた。こういう画期的なシステムとかがリアルな店舗にないと店とか終わっちゃうと思っていたから、絶対イケるって確信してた。で、丁度猪子ちゃんと台北にいる時にうちの会社から携帯に電話かかってきて。「VANQUISHが6階から3階に下りるのも、そもそも賭けだし、それが良かったとしても一番いい場所に売れるか売れないか分かんないようなシステム、チームラボハンガーを入れるのはちょっと危ないんじゃないか」って。「サイネージの場所を奥に引っ込めるか、モニターの数を減らすか、とにかくコストを削減したい」って言われて、俺は頭きちゃって、「俺が決めたことを一ミリも変えるな。そのままやれ!」って言ってブチって切ったんだよ。

猪子:台北であったね。それで僕は講演で呼ばれてたのに、講演をサボって涼さんとずっと下でタバコ吸いながら話し込んじゃってて、結局講演に一回も出なかった。

一同笑

石川:そうだ、代わりにチームラボの社員の人がやってたね(笑)。丁度、タバコ吸ってるときに電話がかかってきて、怒ってブチって切った。結局そのままやって、オープンしたら売り上げ2倍っていう。

— すごいですね。

石川:それで猪子さんについて行こうって思った。

— VANQUISHでの展開はチームラボにとっても結構大きい?

猪子:すごく大きいですよね。(それまでもチームラボハンガーは)ちょこっとお店に使われたりしてたんだけど、ちょこっとだったら結局は中途半端で、よくわからないうちに埋もれちゃいがちですよね。だからVANQUISHみたいにこんなに話題にならないうちにコストだけ高いっていう組織の判断になっちゃう。

— それをいきなり、あれだけどーんってやって。

石川:僕ね、やってて一番よかったなって思うのは、お客さんが喜んでくれるのはもちろんなんですけど、あれを海外にそのまま持っていけるじゃないですか。例えば「初音ミク始まります、11月1日からです」ってなったら、全世界で一斉に始められる。それはすごくよかったなと思って。どんなに形は変わってもそれがあるだけで、全世界で同時にプロモーションできるってなかなかできない。でも場所を押さえていればどの国でも一斉に同じことができるから、すごく良かったなって。

— モデルが変わるごとにいろんな展開ができますしね。

石川:あとはなんか可能性があるというか、進化できる。ぱっとハンガーを持ち上げたら、例えば今度はホログラムになるとか。なんかこう、可能性を感じるじゃないですか。

猪子:でも本当にVANQUISHのおかげで、それまで伝わりづらいプロダクトだったのが、ショップにきれいに入ってめちゃくちゃ話題になったから、テッククランチをはじめ海外の色んなメディアにも勝手に載り始めて。

— 海外にそのまま打って出ようみたいな指向性って涼さんのなかでもともとあったんですよね?

石川:漠然とですけどね。そういう人が周りにいないから、俺らができるんだったらやっていこうみたいな。東コレ出た時(2011 SS)も、出れば海外からのオファーも来るしって言うところでやっていたんだけど。でもやっぱり、それが明確になったのは猪子さんに会えたからですよ。

猪子:なんか僕ね、羨ましいんですよ。VANQUISHにしても一般消費者に直接届く仕事じゃないですか。僕にはそれが出来ないんですよね。

石川:猪子ちゃんがメディアに出ることが良いんじゃないの。直接消費者に届いてるよね。

猪子:それはビジネスになってないから(笑)。でもやっぱりメディアの出方も間接的だよね。なんて言うのかな……文化みたいな現象が起こってて、そこにビジネスがばーって生まれて仕事をしている人が羨ましいんだよね。どうしても、うちらの場合は“特殊部隊”だよね。

— それもあるし、やっぱり猪子さんって論理的だし、俯瞰して見ちゃうところがあるんじゃないですか。こないだあったトークショー(TOKYO DESIGNERS WEEK 2012内で11月2日に開催されたteamLabo猪子with Friends Night)でも、あれだけ色んな分野の人が居ながら筋を通しているし、束ねられるのはすごいなと思いましたけど。

猪子:束ねられてない(笑)。

©CFM
illustration by so-bin

— でもチームラボはそれぞれと仕事しているじゃないですか。で、それぞれの方たちはユーザーと直接やりとりする人たちだったりするじゃないですか。

猪子:そうだね、みんなユーザーと直接やってるね。だからそう、僕は間接の方が好きなんだと思う。

— それは役割だし、猪子さんしか出来ないことをやってるわけで。そこは石川さん然り、VANQUISHといえばファッション、アパレルという分野で、俯瞰して言えばすごい特殊だと思うんですよね。

猪子:ファッション的に言えばどうなんですか? 噛み砕くと、端から見て。

— 端から見ていてぱっと言えるのは、一般のお客さんの方をしっかり向いたモノ作りをされてるっていうところと、日本人だけじゃなくて世界に向けていこうっていうこの二つじゃないですかね。

石川:いちばん決定的に違うのは、プライドが何もないって言う。他の人たちはプライドがあるから。あと洋服屋さんっていっぱいあるけど、多分普通やらないよね、初音ミクとか。

猪子:あえて聞きたいんだけど、例えばファストファッションとはなにが違うの? ファストファッションもお客さんを見てるし、プライドも多分ないし、もちろんグローバルだよね。例えばユニクロとVANQUISHはなにが違うの? 結果消費者が違うと思っているから、VANQUISHは高くても買うんだよね。

— それはブランド自体のファンがいるってことじゃないですか。ファストファッションはアイテムと値段のバランスに対してお金を払うけど、VANQUISHの服が好きっていう人はブランド自体にお金を払ってると思います。

猪子:その違いってどこから生まれるんだろう。なんでファンが一方に出来て、一方に出来ないんですか?

— 難しい質問ですね。

石川:確かに。ファストファッションも一緒だよね。

猪子:僕さ、いつも涼さんの話を聞いててさ、涼さんの話はいつもファッションブランドの話をしてるんだよね。

石川:うん。

猪子:確かにVANQUISHはファッションブランドだし1ミリも間違ってないんだけど、ファストファッションに置き換えた瞬間、涼さんの言ってることはそんなに違いがないんだよね。

石川:確かに。変わんないよね。

猪子:消費者は誰一人としてVANQUISHのことをファストファッションって思ってないから言ってることは全部(辻褄が)合ってるはずなんだけど。でも涼さんが言ってる「プライドがない」ってこととかって、ファストファッションは涼さんの100倍くらいなさそうじゃん(笑)。

石川:なるほどね(笑)。

猪子:それがいつも一番興味深くて。なぜ、ファストファッションのことをみんなブランドだと言わずに、VANQUISHのことをブランドだというのか。すごい細かいこと言うと値段についても、VANQUISHはどっちも行ける価格帯じゃん。いわゆるファッションブランドとファストファッションと丁度間くらいの価格だよね。

石川:あっ、分かった! 多分ね──これ言うと自分で自分の首締めちゃうかもしれないけど──今の世の中ってブランド品、今までみんなが好きだったような高いものはだんだん必要とされなくなってきている状況で、本当は最終的に皆ファストファッションみたいになっちゃうかもしれないんだけど、そういう時代に向かってる流れの中で、ファストファッションに近いんだけど、ちょっとブランドっぽいVANQUISHが今たまたま丁度いいんだ。

一同笑

石川:値段も昔みたいに高くないし。今の若い子からしてみれば、うちの値段も高いと思っている子がほとんどで、ある意味若い頃の僕らにとって高かったブランドと感覚的には今の子も一緒で。でも、みんながファッションブランドに興味が無くなってきてる時代の中でちょうど良かったのかもしれないね。だって、ちょうど僕らが洋服に興味持ったときに欲しかったものって裏原のブランドにしろ高かったじゃないですか。でもそれと同時に古着も流行っていてそっちは安かったでしょ。だから今の若い子が洋服に興味を持ったときに、最初になんとか手が届く高い服がVANQUISHで、ユニクロが安い服。

— すごい大きな流れで言ったらそれはあるかもしれないですけどね。でも、立ち上げたときに、ここのゾーンだって言うのが見えて作ったわけですよね。

石川:でも一緒じゃない? 原宿だ!っていっても原宿に来る子に向けて作られてたわけだから。

猪子:でもただ、VANQUISHに対して、ブランド意識があるのにファストファッションに対してはブランド意識が出来ないのかなって言うのは興味あるよね。僕は価格だけじゃないと思うんだよね。

石川:物が多すぎるからじゃない? ユニクロとかFOREVER21とかH&Mとかテイストが何でもありってなっちゃってるから。

猪子:自分で探さなきゃいけないのか。ある程度ブランドを信頼して、そのブランドのなんとなくのテイストの範囲が自分が好きなものと重なる、なんか信用度みたいなものだよね。ユニクロとかだと種類が多すぎて、自分で自分に合うのを探さなきゃいけない。H&Mとか特に。そういうことなのかな。

石川:コンセプトが見えにくいんだよ、多分。

猪子:コンセプトが無さ過ぎるんだよね。

石川:その差だけだと思う。やってることは変わらないんだよ。でも俺、ユニクロ超好きだよ。

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